2012年03月15日
「左心耳(さしんじ)」とは?何?
「左心耳」とは、あまり聞き慣れない言葉であるが、先日、天皇陛下の心臓手術の中でも、冠状動脈のバイパス手術時に不整脈があり、「左心耳」の根元を糸で縛る処置をしたことが報道されている。
<天皇陛下の心臓手術(毎日新聞JP 2012.2.8.)>
心耳については、解剖生理学の書籍にも構造や機能は明確に表示されていないので、少しまとめてみよう。
心耳は発生初期の心房に相当し、左右の心房に存在する耳のような形をした袋状の突起物で、胎生期の残存物であって、生理的機能はない。
<心耳の図>
しかし、心房細動があると心房に血液がうっ滞し、凝固系が活性化されて、特に「左心耳」に血栓を形成しやすい。 「左心耳」に出来た血栓の一部が剥がれて、血流に乗って脳の動脈を閉塞すると、 「心原性脳塞栓症」 (脳梗塞の30%を占める) を起こす。 「心原性脳塞栓症」 の90%に左心耳血栓があるという。
それで、心房細動患者は、 「心原性脳塞栓症」 予防のために、経口抗凝固薬のワーファリンやプラザキサを長期にわたって服用しなければならない。最近、カテーテルを用いた「左心耳閉鎖術」も報告されている。
心耳は、人間が高齢まで生きるようになったため、血栓を起こすなど悪影響を及ぼして、神様からの贈り物であっても「迷惑なモノ」となっている。前述の天皇陛下のバイパス手術のグラフトとして使用した血管は胸骨の裏にある 「内胸動脈」とのこと。この動脈を使って、冠状動脈のバイパスに使用してもあまり影響はないそうで、この場合は神様からの役立つ贈りモノでもある。
その他、神様の贈り物であってもあまり役立たないモノとしては、 「親知らず」 や 「虫垂」 が思いつきますね。
【Written by 久田保彦】
<天皇陛下の心臓手術(毎日新聞JP 2012.2.8.)>
心耳については、解剖生理学の書籍にも構造や機能は明確に表示されていないので、少しまとめてみよう。
心耳は発生初期の心房に相当し、左右の心房に存在する耳のような形をした袋状の突起物で、胎生期の残存物であって、生理的機能はない。
<心耳の図>
しかし、心房細動があると心房に血液がうっ滞し、凝固系が活性化されて、特に「左心耳」に血栓を形成しやすい。 「左心耳」に出来た血栓の一部が剥がれて、血流に乗って脳の動脈を閉塞すると、 「心原性脳塞栓症」 (脳梗塞の30%を占める) を起こす。 「心原性脳塞栓症」 の90%に左心耳血栓があるという。
それで、心房細動患者は、 「心原性脳塞栓症」 予防のために、経口抗凝固薬のワーファリンやプラザキサを長期にわたって服用しなければならない。最近、カテーテルを用いた「左心耳閉鎖術」も報告されている。
心耳は、人間が高齢まで生きるようになったため、血栓を起こすなど悪影響を及ぼして、神様からの贈り物であっても「迷惑なモノ」となっている。前述の天皇陛下のバイパス手術のグラフトとして使用した血管は胸骨の裏にある 「内胸動脈」とのこと。この動脈を使って、冠状動脈のバイパスに使用してもあまり影響はないそうで、この場合は神様からの役立つ贈りモノでもある。
その他、神様の贈り物であってもあまり役立たないモノとしては、 「親知らず」 や 「虫垂」 が思いつきますね。
【Written by 久田保彦】
Posted by 株式会社 星薬局 at 23:35│コメントを見る・書く(3)
この記事へのコメント
生理的機能はない
Posted by akb at 2013年01月31日 17:30
生理的機能はない
Posted by r48561 at 2013年04月22日 13:23
コメントありがとうございます。中東に興味を持っていただくことができて、嬉しいです。今後もボチボチ発信していきます。ご支援よろしくお願いいたします。
Posted by ーパーコピー時計 at 2013年07月10日 16:09